2023.03.0814,098
地元ライターが教える、レトロかわいい建物&有名建築家が手がけた建物
道後城周辺高浜・三津浜市内その他市内全域
レトロかわいい建築物を見〜つけた!
観光スポットや駅など思わず通り過ぎてしまいそうな場所にも、〝レトロかわいい〟があちこちに。ステンドグラスや看板、扉などいろいろな見どころがあります。
閉館時にだけ現れる、レアな扉!松山市立子規記念博物館
松山市出身の俳人・正岡子規に関する資料などを展示する松山市立子規記念博物館。実は正面玄関に閉館時にしか見られない隠れたお楽しみがあります。
それがこちら、ホトトギスの化粧格子扉。右から「ホトトギス」と読めるのが分かりますか? 昭和56年(1981)の開館当初からあり、子規にゆかりのある俳句雑誌「ホトトギス」第7巻1号の中村不折(画家・書家)による表紙デザインをモチーフにしています。文学系博物館としての特徴が入り口から感じられてすてきですね!入り口が閉まったときに現れるため、この写真の状態が見られるのは閉館時間とちょっぴりレア。
入り口の上にもかわいいモチーフがあります。扉の上の化粧格子彫刻も同じく俳句雑誌「ホトトギス」の表紙デザインから。こちらはいつでも見られます。入館するときにちょっと目線を上げてみましょう!
松山市立子規記念博物館
住所:松山市道後公園1-30
開館時間:9:00〜17:00(5〜10月は18:00まで、最終入館は閉館30分前)
定休日:火曜(祝日の場合は翌日)
入館料:個人400円、高校生以下無料
TEL:089-931-5566
入り口にステンドグラスが輝く、淡いグリーンの三津駅
松山―三津間の伊予鉄道営業開始に伴い、明治21年(1888)に開設された歴史ある三津駅。平成21年(2009)にリニューアルされ、現在は3代目です。人気だった2代目の駅舎デザインを受け継いでいるため、新しいながらもどこか懐かしい雰囲気が漂います。
まずは駅名に注目。先代と同じ書体で作られています。次は目線を上げて、入り口上の換気窓の腕木(うでぎ)を見てみましょう(写真右上あたりの曲がった木)。腕木(うでぎ)とは屋根やひさしなどを支えるもので、なんと先代のものを再利用しています。
入り口のステンドグラスはリニューアル後に設置された新たな見どころ。地元の三津浜花火大会の花火を思わせるかわいいデザインです。
洋風モダンなデザインの無人駅、伊予和気(いよわけ)駅
昭和2年(1927)開設で、平成2年(1990)に新しくなった伊予和気駅。両端に三角屋根を持つ、左右対称の洋館風デザインがかわいい無人駅です。
正面左側が改札口と待合。天井や扉など、所々に〝レトロかわいい〟が見られます。駅舎にある電灯もモダンですてきです。
大正ロマン溢れるモダンな洋館、旧濱田医院
大正12年(1923)ごろに建築された元産院で、和と洋の融合が珍しい建物です。改修後、平成28年(2016)から複合施設としてオープンしていて、各部屋にはいろいろなショップが入り、見学以外にも楽しみ方はいろいろ(各店のオープン日などはHPで確認)。建物内は磨り(すり)ガラスやタイル、木のドアなど〝レトロかわいい〟でいっぱいです。
一歩入ると、フォトジェニックな場所がたくさん!
2階の階段昇降口はレトロな家具を配置しており、すてきなスペース。休憩がてら立ち寄ってみては?
圧倒的な存在感にドキドキ! 有名建築家による建築物
松山市内には有名建築家が手がけた建築物があちこちにあり、建築物ファンならずとも見ておく価値あり! 観光がてら巡れる所、気軽に見られる所をピックアップしました。
2つの三角形を重ね合わせた大胆デザイン!坂の上の雲ミュージアム
司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』がテーマの博物館は、世界的建築家・安藤忠雄氏の設計。珍しい三角形の建物で、西側一面のガラスカーテンウォールには城山の自然の景色が映し出され外観の美しさも格別。館内は三角形を描くひと続きのスロープで結ばれ、展示室をゆっくり回遊できる構造です。
安藤建築の目玉ともいうべき、空中階段。その名のとおり、最も負荷のかかる中間に支柱がない珍しい構造に注目! ミュージアム一(いち)の撮影スポットでもあります。
3階の吹き抜けの展示室。建物と同じく、こだわりの三角形を施している造りが見どころ。
坂の上の雲ミュージアム
住所:松山市一番町3-20
営業時間:9:00~18:30(最終入館18:00)
定休日:月曜(休日の場合は開館、ほか臨時開館あり)
入館料: 一般400円、高齢者200円、高校生200円、中学生以下無料
TEL:089-915-2600
漆黒の正方形の建物に回廊を取り入れた、伊丹十三(いたみじゅうぞう)記念館
映画監督やエッセイストとして活躍した伊丹十三氏の資料などを展示した記念館。水平に長く伸びる箱型の建物は中村好文氏の設計です。焼杉の黒板塀で覆われたシックな外観とは一変、館内に入ると回廊が中庭を囲む明るい眺めが特徴的です。入館時に提供されるリーフレットには中村氏の手書きの館内見取り図があります。
光がたっぷり差し込む中庭にはシンボルツリーの桂が。回廊にはベンチがあり、ゆっくり過ごせます。
十三(じゅうぞう)の名にちなんで、常設展示室が13コーナーに分かれている構成もユニーク。伊丹十三氏の足跡をたどりながらコーナーごとに中村氏のデザインも楽しめます。
伊丹十三記念館
住所:松山市東石井1-6-10
営業時間:10:00~18:00(入館17:30まで)
定休日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始及び保守点検日
入館料:大人800円、高・大学生500円、中学生以下無料
TEL:089-969-1313
滝が出迎える、江戸情緒と現代建築の共生、道後舘
古いものと新しいものの調和(共生)をテーマとする黒川紀章氏が設計し、「長年育んできた夢の結晶」と評する道後の宿。外観の存在感はもちろんですが、館内に入ると江戸期の蔵屋敷をイメージした非日常的な空間のロビーが広がります。館内では大浴場へ続く幻想的な石畳の「湯けむりの道」など、あちこちで黒川ワールドが楽しめます。
蔵屋敷をイメージしたロビーの中央には、なんと滝が流れ、小川のように水が巡っています。奥天井の月にも注目!
ロビーの土産処にも黒川氏のデザインがキラリ。
庭園も建物もすべてがアート!ミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館)
ミウラグループの創業者・三浦保氏の陶板画(ミウラート)を中心に展示する美術館は、長谷川逸子氏の設計。三浦氏が好きだった不等辺四角形をベースとした設計で、展示室は奥に進むほど天井が高くなるユニークな発想のデザイン。アトリエと展示室を空中回廊のような 2階部分で結んだ開放的な外観も魅力です。
屋内ギャラリー。奥に進むほど天井が高くなる不思議な感覚を実際に体感して!
ミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館)
住所:松山市堀江町1165-1
営業時間:9:30~17:00(入場16:45まで)
定休日:月・火曜日(祝日は開館)、展示替え期間、年末年始
入館料:展覧会により異なる
TEL:089- 978-6838
城山の裾野に建つ、カラフルに波打つ菅井内科
一見、クリニックとは思えない愛らしい外観は長谷川逸子氏の設計。城山の土地の高低差を利用して建てられ、モザイクタイルを配置した波打つテラスが印象的です。松山ロープウェー商店街側からも入り口があり、こちらから見えるのは、かわいいモチーフをちりばめたデザインの立面。見応えのある建物です。
※クリニックのため外観見学のみ、院内への立ち入りはやめましょう
土地の高低差を利用したアプローチも。いろいろな表情が楽しめる建物。